海洋深層水とは

「海洋深層水」とは深海、すなわち陸棚外縁部より深い所にある海水の総称です。
例えば、海に囲まれた日本列島の沿岸海域には、陸棚と呼ばれるゆるい傾斜の海底が広がっていて、その外縁部は水深200~300mになります。
海底は外縁部から急激に落ち込みます。水深が200mより深くなると、太陽光線のほとんどが海水に吸収されます。
さらに深くなると、闇の世界が広がっていきます。水深200mより深いところを、無光層と呼びます。
そして、さらに深いところにある海水が「海洋深層水」なのです。一方水深200mより上の海水を表層水といいます。

海水は冷やされると比重が重くなり下に潜り込みます。北極や南極の近くで冷やされた海水は、比重に応じて一定の深さに潜り込み、層状になります。
逆に水深200mより上では、太陽熱で温められた海水の層があります。ごく表面の海水は、冬には大気によって冷やされ、その場で垂直に潜り込み、温められた海水と混ざります。これは水深200mのところまでで、この混じりあいが起こります。
海洋深層水は、温められた海水と混ざっていない、下に潜り込んだ水だけの層にあります。

海洋深層水のミネラル

海水には人間の生命活動に不可欠なミネラル(準主要元素、微量元素)が約60種類、バランスよく含まれています。「海洋深層水」と表層水でそれほど差がありません。
しかし、後の項で説明しますが、「海洋深層水」特有の溶存状態にある微量元素が注目されています。微量元素というのは鉄とか亜鉛とか銅のことをいいます。
一方、主要元素というのは酸素、炭素、水素、窒素を指し、マグネシウムとかカルシウムは準主要元素といいます。

こうしたミネラルを豊富に含んだ「海洋深層水」は、前に述べたように海面に近い水(表層水)に」比べて水温が低く、大腸菌や一般細菌に汚染されてなく、海洋性細菌も少なく清浄です。つまりミネラルが豊富な海水を、水質汚濁の心配をせずに利用できることになります。
したがって、「海洋深層水」は人間にとっての栄養、「ミネラル特性」を持っているといえます。その点が新たな資源として期待されているのです。